ごあいさつ

本学会のHPにアクセスいただき、誠にありがとうございます。

日本思春期青年期精神医学会(Japanese Society for Adolescent Psychiatry: JSAP)は、1988年に創設された学会です。本学会の目的は、思春期青年期精神医学領域の臨床、教育、研究を推進し、その進歩・発展に貢献することであり、ライフサイクルのうちで特徴的な時期として区切られる思春期・青年期の精神医学的な諸問題に焦点を当てることを主目的としています。同時に、1987年に創設された国際思春期青年期精神医学会(International Society for Adolescent Psychiatry: ISAP その後、心理学が加わり The International Society for Adolescent Psychiatry and Psychology: ISAPPに変更された)の日本における国内組織として、緊密な連携のもとに運営されている学会です。

 

会長あいさつ

松田 文雄  医療法人翠星会 松田病院

 

日本思春期青年期精神医学会は思春期とその後初期成人期に至る青年期の心の発達を専門領域とする精神科医と臨床心理士・公認心理師をはじめとする専門家の学術集団です。若者の健全な発達と、その諸問題に関する知識と技術の研鑽が学会の目的です。

1967年に誕生したアメリカ思春期青年期精神医学会(American Society for Adolescent Psychiatry:ASAP)と欧州のこの領域を専門とする精神科医は1980年代の半ばに国際思春期青年期精神医学会(International Society for Adolescent Psychiatry:ISAP)を作ることに合意しました。その時に日本にも声をかけてみようということになって、小倉清元会長にSherman C. Feinstein ASAP会長から打診がありました。その結果、我が国で思春期青年期の精神科臨床に励む精神分析学会および精神病理学会の会員有志が共同で学会を設立することになり、1988年に故辻悟大会会長の下、第1回大会が大阪で開催されました。その後、笠原嘉初代会長、故皆川邦直会長、小倉清会長、生田憲正前会長のリーダーシップの下で本学会は発展してきました。

本学会は毎年一回の大会を開催して、雑誌「思春期青年期精神医学」(岩崎学術出版社)を発行しております。また4年ごとに開催されるISAPPに参加して情報交換をして参りました。この間、国際学会の方では、思春期・青年期精神医学に加えて心理学も重視する立場を鮮明にするために国際思春期青年期精神医学・心理学会(International Society for Adolescent Psychiatry and Psychology, ISAPP)と改名しております。2018年には、館直彦大会会長のもと、第31回日本思春期青年期精神医学会ならびに第2回国際思春期青年期精神医学・心理学会アジア地区大会が開催されました。

これからの日本を担う若者の人口が減少傾向にあります。若者がその人らしく健全に成長していくことが日本の将来にとって最も重要な課題です。しかし、不登校や自死など心の問題は多岐にわり、子どもの心にかかわる多くの専門家のみならず、行政、教育、福祉、司法などと連携・協働することが必須です。

本学会の学問的な基礎は精神力動的精神医学と精神分析的発達心理学・発達病理学にありますが、生物・心理・社会の観点をもって子どもたちの理解を深め、私たちの果たすべき役割を積極的に行うことが求められます。精神療法のみならず、親ガイダンス、子育て心理教育、集団療法、親子同席面接、家族療法などのさまざまな治療法を踏まえながら、適切で好ましい治療関係を築くことが大切です。子どもの将来のために、養育者と同じ方向を見据え、それぞれが幸せに生きていくことを望みながら、本学会はその役割を果たしていく所存です。本学会会員の皆様のみならず、子どもの健全な成長を願う多くの皆様とともに歩むことを申し上げ、ご挨拶といたします。どうぞ宜しくお願い申し上げます。